「自分の手で、もう一度あの現場へ」——義指がつないだ復帰への希望
「自分の手で、もう一度あの現場へ」——義指がつないだ復帰への希望
当社で初めて機能的指義手「GripLock Finger®(グリップロックフィンガー)」をご注文くださったN様。
労災による指の切断という大きな出来事から、理想の義指に出会うまでの道のりをお聴きしました。

❖グリップロックフィンガーに出会うまで
私は2025年の夏、仕事中の事故により右手の中指と人差し指を根元近くから切断しました。
当初、病院で提案されたのは塩化ビニル製の装飾用義手でした。しかし、私の仕事は金型をプレス機にセットするなど、重いものを持ち上げる作業が中心です。見た目を整えるだけの義手ではすぐに劣化してしまいますし、何より仕事になりません。
「なんとしても、怪我をする前の仕事に戻りたい」
その一心でインターネットで検索し、可動式の義指を見つけましたが、やはり重い物を持つ作業には耐えられそうにありませんでした。 さらに調べる中で、義指を装着して砲丸投げをしている海外の動画を目にします。「世の中には、自分の希望を叶えてくれる道具が絶対に存在するはずだ」と確信した瞬間でした。
ですが、いろいろな人に相談しても、返ってくるのは装飾用義手を勧める声ばかり。私の「現場に戻りたい」という想いに真剣に向き合ってはもらえませんでした。
そんな中で出会ったのが、川村義肢の井出さんでした。
井出さんは私の話をとても親身になって聴き、どうすれば良いかを自分のことのように考えてくれました。彼の優しさというか、私のために何とかしようという想いがとても嬉しかったですし、信頼できると思いました。「自分では直接対応できませんが、大阪の本社なら」と、大東本社の望月さんへバトンを繋いでくれたのです。
❖諦めなかった想いが手繰り寄せた出会い
バトンを受け取った担当の望月は、当時まだ日本国内で未認可だった「GripLock Finger®(グリップロックフィンガー)」の情報をセミナーで把握していました。高い耐久性と力強い保持力を備えたこの義指こそ、N様の要望に応えられる製品だと確信していたのです。
N様がご相談に訪れたそのタイミングで、国内認可の目処が立ちました。
❖グリップロックフィンガー納品の日


「実際に装着して、ペットボトルや机を持ち上げることができました。装飾用では諦めるしかなかった作業が、自分の手で再びできるようになった。諦めずに調べて、グリップロックフィンガーに辿り着くことができました。」
切断という困難に直面しながらも「仕事に戻る」という強い意志を持ち続けたN様。その想いに向き合う弊社のサポートが結実した事例となりました。
しかし、これでハッピーエンドではありません。これから、実際に製品をお使いいただく中で、不具合や新たなご要望が発生してくるはずです。
その度に、N様と私たちとで一緒に理想の義指をつくり上げていきたいと思います。
川村義肢はこれからも、お一人おひとりの「諦めたくない想い」に寄り添い、最適な義肢・装具のご提案を続けてまいります。